校長講話 令和元年度

令和元年度修了式に代えて

 3月初旬から臨時休業が続いておりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。本来であれば、体育館に集合し、大きな声で校歌を歌ったり表彰式を行ったりして、今年度の修了式の日を迎えるはずでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、それができなくなりました。残念ではありますが、人間の生命にかかわることですから、臨時休業はやむを得ないことと思います。

 現在、世界中で感染拡大が続いておりますが、イタリア・ロンバルディア州ミラノのアレッサンドロ・ヴォルタ高校でも休校措置が取られ、その際にドメニコ・スクイラーチェ校長が生徒たちに次のようなメッセージを送りました。その一部を紹介します。

~ 前文略 ~

 親愛なる生徒たち。規則的な学校生活は市民の秩序を学ぶためにも必要です。休校に至るには、当局もそれ相応の決断をしたのでしょう。専門家でもない私は、その判断の正当性を評価することも、また評価できると過信もしません。当局の判断を信頼し、尊重し、その指示を注意深く観察して、そして君たちには次のことを伝えたいと思います。

 冷静さを保ち、集団パニックに巻き込まれないでください。基本的な対策(手洗いうがいなど) を怠らず日常生活を続けてください。

 この機会を利用して散歩をしたり、良質な本を読んでください。体調に不備がなければ家にこもっている理由はありませんが、スーパーや薬局に殺到しマスクを探しに行く理由もありません。マスクは病気の人に必要なものです。

 感染の広がりが速いのは、発展した文明の結果です。それを止める壁がないことは、数世紀前も同様で、ただその速度が遅かっただけです。このような危機における最大のリスクについては、マンゾーニ、そしてボッカッチョが、私たちに教えてくれています。

 それは、人間が作る社会が毒され、市民生活が荒れること。目に見えない敵に脅かされた時、人間の本能は、あたかもそこらじゅうに敵がいるかのように感じさせ、私たちと同じ人々までもを脅威とみなしてしまう危険があります。

 14世紀と17世紀のペスト流行時とは異なり、現代の私たちには確実で進歩し続ける医学があります。社会と人間性、私たちの最も貴重な資産であるこれらを守るために、文明的で合理的な思考をしましょう。もしそれができなければ、”ペスト”が勝利してしまうかもしれません。では、学校で君たちを待っています。

【出展】https://bonsenpai.com/coronavirus-in-italia0228

 同じ校長職として、生徒たちに、こんなに素敵なメッセージを送れるドメニコ・スクイラーチェ校長に敬意を表するとともに、私自身ももっともっと自分自身を磨いていかなくてはならないと感じています。 

 さて、皆さんにとっては部活動もできず、また、学校で友達と話をすることもできず、辛く退屈な日々が続いているかもしれません。しかし、新年度は必ずスタートします。朝の来ない夜はありません。ですから、新年度の開始からスムーズなスタートが切れるよう、生活のリズムを整えて心身の健康を維持するとともに、課題を終え、新しい教科書に目を通すなど、準備を進めておいてください。

 新年度に皆さんに会えることを楽しみにしています。

 

 

 

令和元年度第3学期朝礼

 おはようございます。3年生が学年末考査を終え、今日から「家庭研修」に入りました。学校を引っ張って来てくれた3年生がいないと、少し寂しい気もしますが、逆に言えば、ここにいる1~2年生諸君も2月後半に始まる学年末考査を乗り越え、4月には2年生は最高学年として、1年生は上級生として、新入生を迎え入れてほしいと思います。

 さて、今日は「良好な人間関係を保つためには」というテーマでお話をしたいと思います。これは、昨年7月に行ったYMPプロジェクトのアンケートで、どの学年の生徒も一番身に付けたい力として「人間関係形成力」を上げていましたから、今日はそれを取り上げました。

 私が高校時代に読んだ本で、アメリカの作家O.Henryの「賢者の贈り物」という短編小説があります。それはこんなお話です。主人公のヤング夫妻はクリスマスを前にお互いにプレゼントを買いたいが、貧しいので手元にお金がありません。ところで、夫のジムは、父親から受け継いだ、大切な懐中時計を持っています。この時計には鎖がついていません。妻のデラは長くて美しいブロンドヘアの女性です。そこで妻のデラは、ジムに金時計をつるすプラチナの鎖をプレゼントするために、美しい髪をバッサリ切ってしまい、買い取りの商人に売ってしまいます。一方、ジムは、デラが欲しがっていたべっ甲の櫛を買うために、自慢の懐中時計を質に入れてしまいます。クリスマスの晩を迎えてお互いにビックリ。でも、二人はお互いの顔を見てほほ笑みました。

 作家のO.Henryは物語の結末で、一見愚かな行き違いであるが、この二人の行為は最も賢明なものだったと結んでいます。さて、ここで考えてください。二人はなぜほほ笑みあったのでしょうか?愛し合っているからでしょうか?それもあると思います。私はこの二人がお互いのことを思った結果、行き違いが生じたのであり、お互いを認め合っていたからほほ笑み合ったのではないでしょうか。思うに、人間関係に勝ち負けはないと思います。大切なのは「WIN-WIN」の関係を築くことだと思います。

 しかしながら、これが現代の日本だったらどうでしょう。お互いが自分こそが正しいことを主張し、相手を非難し合ったりするのではないでしょうか?現在、多くの日本人が対人・接客を中心としたサービス産業に従事しています。しかし、低価格で良質なサービスに慣れ過ぎてしまい、気に食わないと、

・相手に謝罪として土下座を要求したり

・上司に従業員の解雇を求めたり、

・長時間居座り続けたり、

・大きな声で相手を脅したり、

・ネットに誹謗中書を書き込むなどの行為をする人が現れ、

  その結果、心を病んだり、離職してしまう人も出てきています。確かに、相手に確認をすることや正当な主張をすることは、時として必要なケースもありますが、土下座を要求したり、長時間居座ったり、相手を威嚇したりするなど、時には対応した従業員に対し「女じゃ話にならない」、「若造では話にならん、上司を出せ!」などと、人間の尊厳を傷つけるような人もいます。どうしてそこまでする必要があるのでしょうか?

 皆さんには、相手を認める(リスペクトする)、そしてお互いに人間としての尊厳を大切にする、そんなWIN-WINの関係を築ける「人間関係形成力」を身に付けた大人になってほしいと心から願っております。そしてよりよい社会を作っていきましょう。

 以上で校長講話を終わります。

 

令和元年度第3学期始業式

 令和2年(2020年)が幕を開けました。もう正月7日の「松の内」も過ぎていますので「あけましておめでとうございます」ではなく、寒中お見舞い申し上げます。

 さて、3学期の始業式にあたり、私からは「本校の校歌について」「身の安全を確保するために」についてお話をします。

 本校の校歌の作曲者は古関裕而(こせきゆうじ)という方で「昭和の大作曲家」です。明治・大正・昭和・平成時代を生きた方で、福島県出身です。本校開校が1984年ですから、古関さんが本校の校歌を作曲したのは、恐らく人生の晩年だったのではないかと想像します。古関さんは生涯で5000曲を超える作曲をしており、有名な曲としては、「オリンピックマーチ」(1964年)、大阪タイガースの歌「六甲おろし」(1936年)、巨人軍の(第3代の)歌「闘魂こめて」(1963年)、「栄冠は君に輝く」(1948年)等です。「栄冠は君に輝く」は夏の高校野球選手権大会の歌ですので、野球部の諸君が甲子園で古関先生作曲の校歌を歌えたら素敵ですね。古関さんは、歌謡曲や戦時中の軍歌、また、学校の校歌や応援歌も作曲しています。校歌で一番多いのは、出身である福島県内の学校、大学の応援歌では、早稲田大学や慶応大学、明治・中央・日本大学等の応援歌も作曲しています。

 埼玉県内では、私がホームページ等で調べた限りでは、高校については本校のみではないでしょうか。近隣の八潮中学校や潮止中学校の校歌も古関先生の作曲ですが、どのような縁で、大作曲家の古関先生が作曲してくださったのか、その経緯については、私も把握していません。もし、御存じでしたら、教えてください。古関さんの生涯については、今年4月に始まるNHK連続テレビドラマ小説、いわゆる「朝ドラ」で、現在は「スカーレット」という番組が行われていますが、その後の「エール」という番組で取り上げられます。書籍では、集英社の「鐘よ鳴り響け」と文庫本が昨年12月に出版されました。古関さんは、歌詞を見てその光景を思い浮かべて作曲をしていたようですが、その根底には戦争に負けた暗い世の中や人々の心を音楽の力で勇気づけようと考えたそうです。本校の校歌は清水義潔さんが作詞したものですが、

 昇る朝日に照り映えて 果てなき果てに行く雲の 

 行路(ゆくて)は万里 澄みわたる

 次代を担う 我等いま 

 真理(まこと)を目指し きわめゆく

 若き光の さすところ

 明るく清くさわやかな 八潮南高校

 どうでしょうか?古関さんはこの詞について何を思い浮かべて作曲をしたのでしょうか。思うに、この歌は、八潮南高校生が明るい未来を作っていくことを願った、「本校生に対する応援歌」なのではないでしょうか。だからこそ、君たちには自分たちへの応援歌として、堂々と胸を張って大きな声で校歌を歌ってほしい。私はそう願っています。

 2つ目は、身の安全を確保するためにです。これは毎回お話をしています。3学期は特に、夜間と雪が降った後の自転車の運転に注意してほしいと思います。特に凍った路面は滑りやすく、大変危険です。これはすべての車両について言えることです。大雪の際の対応については、本日、ホームルームで担任の先生などからプリントを配っていただきますが、よく目を通しておいてほしいと思います。大切なのは、まずは交通ルールやマナーを守ること、高校生はこの写真にあるような並列運転が目立ちます。これは一般の人から本校生のルール違反について寄せられたものですが、明らかに道路交通法違反です。ルールやマナーを遵守し、自分の身は自分で守ってほしいと思います。もう悲しい思いはしたくありません。

 以上、終わります。

令和元年度第2学期終業式

 おはようございます。長かった2学期も、本日終業式を迎えます。皆さん一人ひとりにとって、2学期はどんな学期だったでしょうか?今日は2学期の終業式に際し、1冊の絵本をもとにお話をしたいと思います。本のタイトルは「しあわせ」で、作家はスウェーデンで社会科の先生をしていたレイフ・クリスチャンソンという人で、1995年に書かれた本です。わずか23頁。(ストーリー紹介は掲載略) 

 さて、この本が伝えたかったことは何でしょうか?色々な解釈ができると思いますが、少なくとも「しあわせ」は既に何かを手にしたことではなく、努力し続けることではないかと訴えているのではないでしょうか?思うに、2学期の成績会議で、3年生の成績が大幅に低下していました。2学期中に就職先や進学先から「内定」をいただいた後、もしかすると努力することを辞めてしまった人が多かったのではないでしょうか?もしそうだったとするならば、その人たちにはもう一度「幸せ」の意味を考えてほしいと思います。1年生は少しずつ高校生活のペースがつかめ、2~3年生ほどではないけれど、1学期に比べて成績優良者も増えました。2年生については、頑張っている人とそうでない人の差が広がり始めたと思います。

 3学期の課題として、「YMPプロジェクト」をもとに言うならば、3年生には「困難を乗り越え最後までやり抜く力」である「主体的行動力」を期待します。また、1、2年生に対しては、「基礎的・基本的知識の習得」や「自主学習力」である「自主学習探究力」を期待します。

 冬至を迎え、これから約2か月間、寒い日々が続きます。この寒い冬を乗り切るためには、まず、交通事故に気を付けてください。特に自転車運転時は、反射板をつけたり、早めにライトをつけたりして自動車から目立つようにしてください。2点目は、健康に気を付けてください。冬場は空気が乾燥しウィルスが浮遊しやすくなるとともに、「免疫力」も低下し、感染症にかかりやすくなります。手洗い・うがい、睡眠確保、くしゃみエチケットを意識し、人込みを避けたり、マスクをしたりするなどして健康維持に努めてください。3点目は、部活動や学習活動、読書等を通じて、自分自身を高めてください。「寒いから部活動や補習に行くのが億劫だ」と言っているようでは、自身の成長は見込めません。また、読書活動にも励んでほしいと思います。2学期(9~11月)の図書室での本の貸し出し状況はグラフのとおりです。1位は1ー6と3ー3、3-1も頑張りましたね。先生方はさすがですね。

 1月8日の3学期始業式には、元気な姿、そして一回り成長した姿を見せてください。以上、終わります。

 

令和元年度第2学期始業式

 長い夏休みも終わり、今日から新学期がスタートします。この夏休み中は、部活動や進路活動など、様々なところで生徒諸君は活躍をしてくれたことと思います。中でも、野球部の活躍はテレビ朝日「サンデーステーション」や新聞記事でも取り上げられました。(記事は職員玄関入ってすぐの掲示板にも貼ってあります。)

 また、「YahooJapan」のサイトでもトップにランクインしましたし、実際に番組や新聞記事を見て感動した人は非常に多かったと聞いています。

 野球部諸君の最後まであきらめない姿勢に私も感動しました。しかしその一方で、「亡くなった児玉さんは戻ってこない」という悲しい事実も、校長として話さなければなりません。

 児玉さんが自転車で通学中に交通事故に巻き込まれ、亡くなったのは2年前の10月19日、まさに2学期です。

 2学期を迎えるにあたり、私から皆さんにお願いしたいのは「命の大切さ」をよく考えてほしいこと、特に自転車事故には気を付けてほしいということです。1学期にも何度か自転車事故の報告を受けました。中には、一歩間違えば命が失われてしまうような、重大な事故もありました。

 「かけがえのない命、そして人から授かった大切な命」。自分の命、そして他人の命、「お互いの命を大切にしながら行動してほしい」、これが私からの願いです。充実した2学期になることを期待し、講話を終了します。

令和元年度第1学期終業式

 天候不順が続いていますが、元気に過ごしていますか?

 今日は1学期の終業式に際し、「人として大切にしてほしい基本」についてお話ししたいと思います。

 明治・大正・昭和に活躍した教育者の森 信三(もり しんぞう)さんは、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉を残しました。

 「時を守り、場を清め、礼を正す」、もしかしたら、中学校時代の校長講話などで聞いたことがあるかもしれませんが、これは人として大切にしてほしい基本であり、私は心に刻むべき言葉だと思っています。

 「時を守り」とは、時間を守ることです。当たり前のことではありますが、それをどんな時でも貫き通すのはなかなか難しいことかもしれません。本校生はどうでしょう。この1学期中、全校で481名、全体のおよそ72%が「皆勤」でした。よく頑張ったと思います。2学期以降も続けてほしいですし、残念だった人も2学期の「皆勤」を目指してほしいと思います。「時を守ること」一つ一つの積み重ねが、皆さん一人一人の信用へとつながるはずです。

 2つ目の「場を清め」は、「掃除」をすることです。日本の学校では、小学校から高校まで「清掃活動」に取り組んでいます。私は海外の学校も見てきましたが、これは世界に誇れる日本の素晴らしい文化ではないかと思っています。昨日は大掃除をしました。また、サッカー部の諸君が廃棄物倉庫をきれいにしてくれました。感謝しております。散らかっているところでは、正しい判断はできないと思います。1学期を終え、もし自分の部屋や練習場などの活動場所が散らかっていたならば、まずは身の周りをきれいにすることから始めてください。それができれば、「成長」のスタートラインに立てるはずです。

 最後の「礼を正す」については、言うまでもありません。1学期を終えるに際し、あいさつやマナーなど、皆さんの「人としてのふるまい」はどうだったのか、例えば、いけないことをした時に素直に「すみません」ということができたのか、しっかりと振り返ってほしいと思います。

 「時を守り、場を清め、礼を正す」、これは本校の校訓「勉学・誠実・実行」や6月の朝礼でお話しした「YMPプロジェクト」に比べると、本当にごく基本的で当たり前のことではあります。しかし、それを最後まで続けられる人こそが、人として信用を積み重ねていかれるのだと思います。3年生は企業見学など、これから進路実現に向けて本格的に活動をしていきますが、「時を守り、場を清め、礼を正す」、私はこの当たり前のことを当たり前にできることが進路実現のカギだと思っています。皆さんの健闘を祈ります。

 9月2日の2学期始業式には、元気な姿、そして一回り成長した姿を見せてください。

令和元年度第1学期朝礼

 6月に入りました。1学期も折り返し点を過ぎました。

 今日は、皆さんに八潮南高校生として、本校を卒業する前に是非とも身に付けておいてほしい力「YMPプロジェクト」についてお話をします。

 校訓の「勉学・誠実・実行」については、入学式や始業式など、これまでも様々な機会で触れてきました。今日はもう一歩踏み込んだ、より具体的な力について説明します。

 先日、担任の先生から、このような表が配られたり掲示されたりして、お話があったかと思います。本校では今年度から、YMPプロジェクトとして、本校生に身に付けてほしい力をより明確にして教育活動に当たるようにしています。YMは「八潮南」、Pは「プライド(誇り)」、八潮南高校の生徒として「誇り」をもち、「八潮南高校の生徒で本当によかったなあ」って思って卒業してほしい、そんな願いが込められています。具体的には「人間力・学力・社会人基礎力」の育成の3本の柱があり、それぞれに3つの力が示されています。

 まずは「人間力」については、「自己管理能力・主体的行動力・人間関係形成力」があります。時間の都合上、細かい話まではできませんが、例えば「自己管理能力」。欠席や遅刻などもせず、規則正しい生活を送るには「自己管理能力」が大切です。本校では毎月8のつく日に「ノーチャイムデー」を設定していますが、これも「自己管理能力」を身につけるための試みでもあります。相手に思いやりを持って接し、礼儀正しく行動するのは、大切なことですが、これは人間関係をよくするための力、「人間関係形成力」ではないでしょうか。

 続いて「学力」については、「自主学習探究力・課題発見解決力・論理的思考力」。例えば、部活動で「上手になりたい」と思った時、何が必要か?まずは「今の自分には何が足りないか」をはっきりさせ、その情報を収集(人から聞くでもよし、本やインターネットで調べるもよし)、そして行動に移すことになろうかと思います。これはまさに、「課題発見解決力」なんですね。

 最後に「社会人基礎力」。「前に踏み出す力・考え抜く力・チームで動く力」があります。例えば、3年生は進路実現に向けて、これから本格的に動き出すことになりますが、まさに「前に踏み出す力」が重要です。悔いのない進路選択をするにはしっかりと「計画」を立て、たとえうまくいかなくてもあきらめずに最後までやり遂げる、「考え抜く力」も大切です。日ごろの授業や学校行事、部活動など、様々な行事をとおして、こうした力を身に付けてほしいと思います。

令和元年度第1学期始業式

 皆さん、改めましておはようございます。

 私はかつて、平成14年4月(西暦2002年、サッカーワールドカップ日韓大会の開催や、学校完全週5日制が始まった年です。3年生は既に生まれていて、2年生の多くがちょうど誕生した年度かと思います。)から4年間、本校に勤務し、平成18年3月に卒業生を送り出しました。先日、新聞で私の名前を見つけた卒業生(32歳)からお祝いの電話をいただきました。「先生、おかえりなさい」と言っていただいたのが嬉しかったですね。

 さて、1学期のスタートにあたり、私の考えや思いを伝えたいと思います。

 私は、皆さんに「幸せ」になってほしいと思います。何をもって「幸せ」と考えるかについては、また後日お話をしたいと思いますが、「幸せ」になるためには日ごろの心構えが大切であることに変わりはありません。私はその心構えを表しているのが、本校の校訓「勉学 誠実 実行」ではないかと思っています。

 「勉学」が意味するのは、ただ単に良い成績を修めることに留まりません。現在のような変化の激しい社会では、今学んでいる知識や技能は、もしかすると、すぐに古くて時代遅れになってしまうかもしれません。大切なのは、生涯にわたって学び続けることです。一歩一歩積み上げていってください。 

 そして「誠実」に生きていれば、人から信用され、様々なチャンスが巡ってくるでしょうし、また、どんなに困った時でも必ず誰かが声をかけてくれると思います。「誠実」は人生の成功のカギだと思います。

 また、どんなに素晴らしい目標や計画を立てても、勇気を出して一歩踏み出し、最後までやり抜く「実行」が伴わなければ、幸せは手に入りません。

年度が始まるに際して、改めて「勉学 誠実 実行」の意味を考えてほしいと思います。

 さて、4月1日に新しい元号「令和」が発表されました。あと1か月もしないうちに、「平成」から「令和」に移ります。新しい「令和」の時代を迎え、八潮南高校がますます発展していくことを心から願っております。

 最後に1つお願いがあります。3年生は覚えていると思いますが、平成29年10月に、当時1年生だった本校女子生徒が交通事故に遭い、尊い命が失われるという痛ましい事故が起きました。生きていれば、3年生としてこの場にいたことと思います。もう二度とこうした悲しい思いはしたくありません。自分がルールを守って運転していても巻き込まれてしまうことがあるのも事実ですが、交通事故、特に自転車の事故には十分に気を付けてほしいと思います。

  誰一人欠けることなく、3年生は3月の卒業式を迎えられるよう、2年生は3年生に進級できるよう、しっかりと高校生活に臨んでほしいと思います。以上で講話を終ります。