【学校生活の様子】

卒業証書授与式

平成30年度 卒業証書授与式

式   辞

 

 厳しかった冬の寒さも和らぎ、ようやく春の訪れを感じるようになった今日この佳き日、埼玉県議会議員 宇田川 幸夫 様、八潮市議会議長 朝田 和宏 様、本校PTA会長 鈴木 玉枝 様、後援会会長 小櫃 昌宏 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席を賜り、ここに埼玉県立八潮南高等学校第三十三回卒業証書授与式をかくも盛大に挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びであります。御来賓の皆様におかれましては、御多用の中、御臨席を賜り、心から厚く御礼申し上げます。

 

 ただ今、卒業証書を授与いたしました215名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。教職員一同、皆さんの卒業を心より祝福いたします。

 晴れの卒業にあたり、これから社会で活躍する皆さんに、エールを送る意味も込めて、はなむけの言葉を贈ります。

 

 それは「時勢に応じて、自らを変革せよ」という言葉です。

 これは、幕末から明治維新という変化の激しい時代を生き抜いた坂本龍馬の言葉です。

 

 私たちが生きる現代の社会は、技術革新、いわゆるイノベーションが日進月歩であり、新しい技術が次々と開発され、これまで最新だった技術がすぐに過去の遺物となってしまうなど、まさに急激な変革を伴う時代と言われています。

 例えば、19世紀に世界で初めて電話機が発明されてから、携帯電話の普及まで約100年以上かかったのに対し、その後のスマートホンの普及までは、わずかたった10年程度しかかかりませんでした。この間、インターネットの普及とも重なり、私たちの生活は劇的に変化しました。

 

 今後、より一層の人工知能の進歩やグローバル化の進展、少子高齢化による人口構造の変化などにより、私たちの社会は、さらに加速度を増して変化していくことでしょう。

 

 確実に言えることは、このような、これまで何千年にもわたる人類の歴史の中で、誰一人として経験したことのない予測不可能な急激な社会の変化の中で、皆さんは、生きていかなければならないということです。

 そこで、皆さんがこれからの人生を歩んでいく上で、大切な要素を3つ、お話したいと思います。

 

 1つ目の要素は、固定観念にとらわれない柔軟な発想力です。

 これまで、歴史の転換期には、当時の常識を覆す変革者たちの存在がありました。

 例えば、ルネサンス期、中世の絶対的な考えであった「宇宙の中心は地球である」という天動説を否定し、「太陽を中心として地球はその周りをまわっている」という地動説を唱えたコペルニクスやガリレオ・ガリレイ。

 例えば、戦国武将でありながら、これまでの封建的な政治経済の秩序を否定し、楽市楽座など、商業活動に対する規制緩和を取り入れた改革をすすめ、約100年にも渡った戦国時代を終結させる礎を築いた織田信長。

 

 洋の東西を問わず、時代の変革期には、必ずと言っていいほど、これまでの固定観念にとらわれない柔軟な発想がありました。

 

 このように、誰もが驚き、受け入れがたいと思うような「非常識」なものこそが、実は革新的なアイデアとなり、新たな時代のニーズにマッチした「常識」となり得ることを歴史は証明しています。

 今まさに変革の時代だからこそ、高い嗅覚をもって、時代の潮流を読み取り、自らの価値観を変えていく柔軟性、これまでの「常識」を打ち破り、「非常識」を「常識」に変えていくダイナミックな発想力が求められているのです。

 

 2つ目の要素は、例えどのような社会変革の中であろうとも、人として、正しく生きる誠実な心を持つことです。

 

 江戸時代に、現在の滋賀県にあたる近江地方で活躍した近江商人の活動理念の一つに、「買い手よし、売り手よし、世間よし」という「三方よし」というものがあります。

 これは「自らの利益のみを求めるのではなく、その顧客のことを心から想い、多くの人に喜ばれる商品を持って商売を行い、社会に貢献していく」という理念で、まさに企業と顧客と社会とが「win-win」の関係となる、現代の企業倫理にも通じる考え方です。

 

 現代社会では、企業が自らの営利のみを追求しすぎるあまり、消費者が甚大な被害を被る事件や事故が後を絶ちません。まさに企業倫理が強く求められている時代です。

 「自分だけが良ければよい」という自分本位な心ではなく、他人や社会が真に求めているものを考え抜き、思いやりに満ちた心を持って行動するという誠実な心が求められているのです。

 

 3つ目の要素は、変化の激しい社会に臨む「覚悟」を持つことです。

 予測不可能な新たな時代に臨むためには、相当のエネルギーを必要とし、誰しも不安になるのは当然です。

 

 たとえ不安な点があったとしても、なんとかやってみようと前向きに行動できる人、不安な点があると、できそうにない理由を見つけ、ただ不平不満を訴えるだけの人、あるいは、誰かが何とかしてくれるだろうと、自らは動こうとせず、ただ傍観するだけの人など、不安に対する人々の反応は様々です。しかし、ただの不平不満や建設的でない批判、傍観するだけからは、何も生まれることはありません。

 

 理不尽や不都合なこと、自分の意に沿わないことにも、真正面に向き合い、世のため人のために「自分は絶対にこれを実現させよう」、「どんな状況でも、自分の役割を果たしていこう」という「覚悟」があれば、必ず道が開けます。どんなに初めは不可能だと思えたことにも、一筋の光が必ず射してくるものだと思います。

 

 「時勢に応じて、自らを変革せよ」

 

 さあ、これからは皆さんの時代です。明日からの日々、たとえ予想すらしなかった困難が待ち受けていようとも、何も不安に思うことはありません。

 

 すでに皆さんは、本校での3年間、授業や部活動、学校行事、資格取得への挑戦等を通じて、自らの可能性を追求し、様々な困難に立ち向かっていくための必要なことを学んできたではありませんか。

 どんなにつらい時でも、協力し合い、励まし合い、お互いを思いやり、高め合える仲間と出会うことができたではありませんか。

 そして、その仲間とともに、時には柔軟に、時には強い覚悟を持って、それぞれの成長を遂げるための自らの変革に果敢に挑戦してきたではありませんか。

 

 ぜひ、本校で培った力を信じて、一つ一つの課題や難問に真摯に向き合い、固定観念にとらわれない「柔軟な思考」と、思いやりあふれる「誠実な心」、そして強い「覚悟」をもって、新たな時代の変革者であり続けることを願っています。

 

 結びに、保護者の皆様、本日は、お子様の御卒業誠におめでとうございます。成長された我が子を御覧になり、感慨も一入のことと、心からお喜び申し上げます。併せてこれまでの本校の教育活動に対する御理解・御協力に厚く御礼申し上げます。

 これからも、良き理解者としてお子様を暖かく見守っていただくとともに、今後とも本校への変わらぬ御支援・御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 卒業生の前途洋々たる人生と、御家族の皆様の御多幸を祈念し、式辞といたします。

 

            平成三十一年三月九日

                  埼玉県立八潮南高等学校長  加藤 元