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2025年6月の記事一覧

校長室花暦⑥

 6月半ばにして真夏のような暑さが続く中、華道部さんから一服の清涼剤のような作品が届きました。

(今回の花材)

 ケイトウ(写真「ピンクの花」)とツツジ(写真「緑の枝」)は、以前の花暦で触れました。振り返ってお読みいただけるとうれしいです。

 ミヤコワスレ(写真「白い花」)

 ミヤコワスレ(都忘れ)は、悲しい伝説を由来とした「哀愁」の花言葉で有名なキク科の多年草です。本種ミヤマヨメナ(深山嫁菜 )は、日本の本州などの野山に生息し純白の花を開花させます。愛らしいピンクの花は浜乙女や桃山という種類として知られています。紫色の江戸紫や白色の瀬戸の花嫁などの品種があり、薄青紫や赤の花を咲かせる種類もあります。ミヤコワスレの和名の由来は、鎌倉時代の順徳天皇の伝説まで遡ります。順徳天皇は鎌倉時代の第84代天皇で、鎌倉幕府打倒のため父である後鳥羽上皇と共に承久の乱を発起し大敗して佐渡に流刑され生涯を終えました。順徳天皇は、都の御所でも天皇家を象徴する白い小菊を愛でていたと伝承されています。都を偲ぶ順徳天皇は、佐渡に咲いていた可愛らしい花を眺め、都への思いを忘れようと和歌を詠んだという伝説があります。ミヤコワスレの和名は、その伝説から名付けられたとされています。

 そしてなんと、ミヤコワスレは私の妻の誕生花でもあります。夫婦そろって誕生花を送っていただけるとは…。本当に感激です。

 

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校長室花暦⑤

 体育祭が雨で延期となりました。予備日が翌日に迫る中、再びの雨模様…。そんな憂鬱な気分を忘れさせてくれる華道部さんからの素晴らしい作品が届きました。

(今回の花材)

・マサキ(柾 写真「緑の葉」)

 日本全国で自生している常緑低木です。海岸近くにも多く自生して塩害にも強く、排気ガスにも比較的強いことから、生け垣によく利用されます。 葉は縁がのこぎり状のギザギザが入った楕円形で厚みと光沢のあるところが特徴的です。6~7月に直径5mm程の小さい花を咲かせます。葉が厚いので手厚くもてなすことを連想して「厚遇」、 常緑樹で年中きれいでおだやかな葉がつくために「円満」 の花言葉がつけられています。

・小菊(写真「黄色の花」)

 菊というとお墓参りの花のイメージがありますが、菊が仏花になるのには理由があります。現在はあまり一般的ではなくなりましたが、9月9日は重陽(ちょうよう)の節句です。重陽、つまり陰陽の「陽」である奇数が最大限に重なった日が9月9日ですが、陰陽思想では陰と陽のどちらに強く片寄ることはよくないと考えられたため、気を付けるべき日とされ、邪気祓いの祭りが行われました。その際に、強い香りが邪気を祓うと考えられた菊の花が供えられ、特に黄色の菊は「長寿と幸福」の花言葉がつけられています。

・シャクヤク(芍薬 写真「ピンクの花」)

 花名のシャクヤクは「姿がしなやかで優しい様」を意味する「綽約(しゃくやく)」に由来するともいわれます。諸説ありますが、夕方には花を閉じてしまうことから、「恥じらい」や「はにかみ」の花言葉がつけられています。また、古来より女性の美しさを形容する言葉として「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という表現があります。美しい女性の立ち姿、座る姿、歩く姿を花にたとえた言葉です。

 

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